標的とされた企業の数が、今年は倍増
アクティビストの公開要求を受けた日本企業の数が、2015年に8社であったものが、今年は13社に達しました。
アクティビスト投資家であるダン ローブ氏の日本への進出を機に、アクティビズムが活気づくとした多くの観測にもかかわらず、アクティビストの活動は概ね安定しており、2013年は7社がターゲットとなった後、2014年と2015年には各々8社に増加した程度でした(空売りを行うアクティビストは除外)。今年の議決権行使期間は終了したものの、Activist Insight Monthlyの2016年8月号のカバーストーリーである「日本のアクティビズム」で詳述されているように、アクティビスト達はアクティビズムに有利な環境が継続していると考えています。
アクティビズムが日本に根付く
本社所在地ごとの公開要求の対象となる企業。*2016年7月31日までの一年間
活動の活発化は、小型株セクター(2億5000万米ドルから20億米ドル)への関心の高さにより牽引されてきました。このセクターで、今年公開ターゲットとなった半数以上(7社)が下落しました。今年は、時価総額100億米ドル超のセクターでは1社のみがターゲットとなり、2015年全体で3社であったのに比べて減少しました。
バランスシート アクティビズムは引き続き公開要求の主なカテゴリーです。M&Aアクティビズムは2013年には全体の22%でしたが、今年はこれまでのところわずか5%に減少しました。ガバナンス関連の要求は、2013年の11%から全体の32%に増加しました。
すべての公開要求に占めるアクティビズムのタイプ
これまでと同様、日本にとって引き続きアクティビズムは概ね海外から持ち込まれた現象です(注:Effissimo Capital Managementはシンガポールに拠点を置いているため、データ上は「海外の」アクティビストと認識されています。一方で、創設者の村上世彰氏はシンガポールの居住者と考えられているにも関わらず、村上氏とC&I Holdingは日本に拠点を置いていると認識されています)。日本のアクティビストとターゲット企業の距離は、敵対的アクティビズムに対する日本の投資家のアプローチを反映しているかもしれません。
アクティビストの本拠地によりターゲットとされる企業(アジアではアクティビストとターゲット企業の双方が地域レベルではなく国によって評価される)
Activist Insightの広報担当のジョシュ ブラック氏は、「日本において、取締役会の独立性を増大させることに焦点をあてたコーポレートガバナンス基準がより厳格化されるのと同時に、アクティビズムは更に普通のことになるだろう。例えば依然として英国に比べて一般的ではないものの、アクティビズムは収益性が低い経済でも育ち、更に一層成長するだろうとデータは示している」。